森と海のつなぎ人
森林整備と海の関係って?
森が良くなると海も綺麗になる。
そもそも、“森を整備すると海洋環境が改善される”とはどういうことなのでしょう。
森と海をつなぐキーワード。
それは「水」です。
森林でつくられる水
本来、海水から蒸発した水は雨となり、陸地の森林などを巡りながら、ミネラルをたくさん蓄(たくわ)えて、海洋に戻ります。
この時供給される栄養分たっぷりの水が、豊かな藻場形成を促進し、魚貝類を育て、磯焼け(海藻のない砂漠のような磯)を防ぐといわれています。
けれども、この「森林からの水供給」が、里山の過剰な「蒸散作用」により、うまくいっていないのではないかとの指摘がされているのです。
蒸散と森林
本来、樹木は根から吸い上げた水分を大気中に発散するという仕組みを持っておりこの作用は「蒸散」とよばれています。
蒸散は、大気温度の調節や二酸化炭素の取り込みといった非常に大切な役割を担っていますが、
水分放出が過剰になりすぎると、良いことばかりとも言えなくなります。
最近の研究では、根から吸収されるおよそ90%もの水分が蒸散により発散され、この水分量は、気温が高く乾燥(かんそう)した日には、一本の成木から1トン以上にも上るとの報告もあります。
雑木の間伐
昔の先人たちは煮炊きや暖房といった暮らしのバイオマスエネルギーを確保するため、里山の雑木森を「間伐」しながら育成してきました。
雑木森の間伐とは、主に樹木の育成を促すために、混み合いすぎた木立を間引くことを指します。
杉やヒノキなどの人工林と異なり、植林の必要がないウバメガシ等の雑木は、適切な時期に間伐することで若芽(ひこばえ)が育ち、20~25年の短い期間で薪等に程良い大きさに生育します。
昔は薪や炭つくりの必要性から、自然に適切な間伐が行われていたとも言い換えられます。
自然な間伐と海と環境
つまり、先人たちが自然に行ってきた間伐こそが、森の蒸散を抑え、海に還る栄養分たっぷりの水作りを支えていたのです。
間伐が適切に行われれば森に光が入り、下草が茂り、蒸散がコントロールされるため、森から湧き出るミネラル豊富な水が増えます。
魚つき林から供給される水は昆布やワカメ等、藻場の生育を促進し、石灰藻の繁殖による海の砂漠化を予防します。
つまり間伐により森に雨水をめぐらすということは、畑に撒く水を、栄養たっぷりの肥料水に変える、ということに他ならないのです。
里山間伐の現状
しかし昨今、薪・炭の需要は減り、エネルギーを得る為の間伐はめっきり行われなくなりました。
放置された里山では、無秩序に葉面積が増大し、過剰蒸散を続けた結果、森林は保水力を失ってしまいました。
表土が剥き出しになってしまった里山も多くみられます。
里山は原生林ではありません。里山が原生林に近づきすぎると蒸散量が過剰となり、平野部でゲリラ豪雨の原因ともなりえます。
また、海岸地域の魚つき林が不自然に大きくなり、その重みと保水力不足で崖を崩す事もあります。
太古の昔から人が手を入れ大切に守ってきた里山の整備を忘れたことから、森と海洋環境のバランスも崩れだしたのです。
私たちの地域には多くの雑木里山があります。
海岸地域を取り囲む雑木森を整備することは、
昔ながらの豊かな磯や湾を取り戻していくことに繋がっていきます。
剥き出しとなってしまった表土に光を入れ、
下草を生やすことにより、
里に下りていた野生動物の住処が確保され、
獣害が減り、ホタルが森にかえってくるとも言われています。
「森と海をつなぐ」こと。
それは、人間と野生動物、野生動物と植物、
植物と昆虫とのつながりなのです。
みんなつながっていることを思い出すことが、
「現在を美しい未来につなぐ」ことに他ならないのです。
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設立 | 令和元年5月 |
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